ソクラテス(前470頃~前399)




イラストはDYNAさんに描いていただきました。

ソクラテスは「汝自らを知れ」というデルフォイの箴言を解釈して,「善く生きる」ことの意味を問うた。彼は問答法によって人々の生き方を吟味し,無知の自覚に至ることを求めた。彼によれば,吟味のない生は生きるに値しない。彼は,徳を顧みず財物や評判を追い求める人々に,「魂への配慮」を説くが,それは魂が優れたものになることによって,財物その他のものも人間のためにほんとうに善きものとなるからである。そして,その魂は,正しさによって優れたものになり,不正によって損なわれるものである。徳に規定された,この自己のあり方こそ,「善く生きる」ことの根拠として,彼が人々に求め続けたものであるが,これはその後のギリシア思想の展開に大きな影響を与えた。(センター倫理・1991本試験)

知者として世評の高い人が傲慢に陥ることもある。ソクラテスは,当時名高い政治家や詩人たちが,人間は神とは異なり根本的に無知であるにもかかわらず,傲慢にも善や美などを知っていると思い込んでいることを明らかにした。そして彼は,デルフォイの神殿の「汝自身を知れ」という警句を無知の自覚を促す言葉と解して,問答により真理を探究した。(センター倫理・2005本試験)

古来,過酷な事態を前にした時でも,人間としてより善く生きることを求める思想がみられる。たとえば,ソクラテスは,ポリスの神々を認めず,青年たちを堕落させていると告発されて,死刑を宣告されるに至った。この判決を不当なものとして逃亡を勧める友人もいたが,その助言を退け獄に留まった。彼はあえて死を避けなかった。それは,自らの行為を通じて,正しく生きることがいかに大切かを市民に訴え,ポリスに正義が回復されることを願ったからでもあった。(センター倫理・1996追試験)

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